寒みそぎ 2004年 禊ぎ体験報告

it_logo熊野神社のかんみそぎ

平成16年「白糸の寒禊ぎ(かんみそぎ)」ハイライト集

この祭の由来、進行については、こちら「熊野神社の寒みそぎ」をご参照下さい。

今年は当ホームページの編者も老体を省みず?「禊ぎ(みそぎ)」に参加しました。

神主が後で白状されましたが、「禊ぎ祓い(みそぎはらい)」の時間を例年より長くしたとの事、 実情は年男の人が米を研ぐのに不慣れな為 と言うよりお神酒が少し入りすぎていた様です。

外気温は例年になく暖かでしたが、冬の川の水温の冷たさは応えました。

無断で写真掲載をさせていただいた方々にはお詫びいたします


出発前

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背中の赤い部分は寒さを堪える為に気合入れに叩き合った手の跡です。今年は西洋系の外国人の姿(5名ほど見かけました)が例年より目立ったようです。国籍や宗教に関係なく祭り好きな人は多いようですね。

余談:このホームページを観て、自分で撮影したいと、遠路「京都」から駆け付けてくれた祭の写真が好きな方がおられました。

また、報道関係者が今年はTV撮影だけでも3社みえていました。

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この人(白い帽子)に見覚えはありませんか?

そうです!TVQ(九州放送)でお馴染みの「3923(さんきゅうにいさん)」です。

現在TVQで、生徒一人の白糸分校の様子がドキュメント風に放映されており、番組の取材で「3923」は本校の行事や校区行事等にも参加される事が多く、地元の人には顔なじみの人気者です。

横にいる子が分校の児童で番組上は彼と同級生です。

余談:本来は寒禊ぎは小学生にとって危険な為、参加が認められていないとの事ですが、お父さんと同伴を条件に認められたと聞いています。生れて初めての褌(ふんどし)姿、きっといい想い出になったでしょう。

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この人(眼鏡)にも見覚えはありませんか?

そうです!長糸小学校の校長先生です。

他にも小学校の先生が参加されていました。他の先生からは校長先生は見物予定と聞いていましたが・・・

余談:現在の長糸小学校の方針の一つが顕著に見受けられ、こういう環境と考えの先生方に学ぶ児童は幸せだな~と思うと同時に将来が楽しみですね。


出発を待つ面々

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寒風が吹かなかったから少しはましでしたが、冬の真夜中に裸で立っているのは厳しいです。

余談:今年は禊ぎ参加者が多く、神前でお神酒を受けるのに結構時間が掛かり途中で焚き火の場所まで抜けていく人が見受けられました。

昨年は80名程の参加者でしたが今年はこれを上回ったと思います。私を含め「3923」に分校同級生の友岡君も参加したので、3名は確実に多いはずです。


松明到着、さあ出発!
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松明を先頭に掛け声と一緒に駆け足で禊ぎ場に向かい出発です。松明は枯れ竹を束ねて作ってあり、弾けて火がついた小枝が飛び散って勇壮な感じがします。

余談:松明の竹が弾けて火がついた枝を避けるのが又一苦労です。私は地元の古老に「裸足が本来の姿だろうから」と強がりを言って参加したものの、火を踏んだ時の熱さと砂利の痛さには閉口しました。子供の頃は裸足になることが多かったので、今頃の時期はシモヤケには悩まされましたが、砂利の痛みと言うのは気にしなかったのに・・・靴を履くようになった習慣のつけかな?

置き型の松明?

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最近良く見かける照明用松明?ヒノキの切り株で作り、結構長い時間燃えて、足元の照明としては趣があります。

余談:枯れた木ではこの様にはなりません。生木のヒノキが最良と言う事で、縦に十文字に切り込みを入れ、中央部は下まで貫通した空気補充用の穴を開けます。チェンソーだけで細工した面白い照明具で、勿論採暖用にもなります。


いざ!禊ぎ!

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冷たそうだな~

禊ぎ場に到着し、いよいよ川の中へ入っていきます。

冬の深夜の川の水は冷たいと言うより痛みに近い感覚と言う表現が適当でしょう。

禊ぎ中

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禊ぎ場にて

御老体もヤング層も全員が一緒に水中に入り、禊ぎ祓いが終わるまで禊ぎを行います。 冷たい水中で数グループに分かれ、肩を抱き合いながら胸まで浸かって円陣を作り、仕切り役の指示で大きな輪になったりしますが、途中で水の掛け合いが始まる頃が極限でしょう。

余談:心臓が弱い人には少し酷な行事でしょうね。水の掛け合いにより冷たさが極端に感じられてきますし、膝から下は感覚が薄れ、川底の不陸に足を取られがちですが、肩を組み合っている事で倒れなくて済みますし、人肌の温かさも感じ、冬山等で身体を寄せ合う事で寒さに耐えたと言う話が実感できます。

眼鏡の方は常連で編者(向かって左隣)の一年先輩、後ろ向きの子は中学生です。もう一人最長老の方が参加していますが、他のグループで頑張っておられました。


御祓い~神前に捧げるご飯

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大雑把に言うとこの祭の中心と言っても過言ではないでしょう。

神前に捧げたご飯の傾きにより翌年の作物の吉凶を占う事が行われます。

滝から流れてきた水で御祓いをした米をとぎ、宮司はその間「禊祓(みそぎばらい)」を奏上し、参加者は禊を行います。

決まり事も色々あり、詳細は「寒みそぎ」をご覧ください

神前で宮司により御祓いを受けます。先方の3個の樽の中に合計3升3合の米が入っています。 これを年男三人が担いで禊場で研ぎます。

余談:何故3升3合なのかは編者も知りません。神事に使う数は奇数と言う事で3と言う数字になっているのだなと言う事くらいです。

年男が担ぎ禊場へ
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3個の桶に分けられた米を担ぎ松明と提灯の明かりを頼りに禊場へ向かいます。

余談:若い衆には普段米を研いだりする経験もなく、しきたりに則った方法での慣れない作業。おまけに冬の水中での作業では、なかなか思うようにはいかなかったでしょう。その間、参加者は胸まで浸かっての禊ぎ、「早う終わらせんか~い!」と言いたくもなる。

釜でご飯を炊く

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2003年写真より

若い衆によって急ごしらえのかまどで禊場で研いだ米をたきます。枯れた竹を薪にして炊き上げます。

余談:この段階から若い衆には又別の意味での試練が始まります。先輩・古老は、たき方の火の具合や炊き上がりの頃合について、各々が好き勝手に口だけは出し てうるさく言いますが、決して手を出して教えようとはしてくれません。炊き上がると、「今年の飯は素晴しい炊きあがりになりました」と出来具合を報告に行きます。

さすがは先輩!蓋を開けさせ、覗いただけでもう少し蒸らせ、または盛り付けにかかれと言う様な指示が出ます。

炊き上がり
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炊き上がったご飯をおひつに取り出す。大しゃもじ二本で炊き上がったご飯をおひつに取り出し盛り付けの準備に掛かります。

余談:最近一般の家庭では おひつ というものを見かける機会が少なくなりましたね。

盛り付け

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盛り付け開始(1)
炊き立ての熱いご飯を三人の若衆が盛り付け作業に掛かります。

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盛り付け開始(2)

熱いご飯を素手で扱うのは大変な作業なので、そばに置いた水で手を冷やしながら行います。

余談:通常神前に供えるには三宝を用いますが、一般の三宝に比べ非常に足の部分が低い特製の 三宝を使います。

神前用の盛り付け

 

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ほぼ形が出来上がってきました。

余談:この頃になると同年輩のギャラリー達が形について色々口をはさみだします。A君は仕事柄さすがに上手い、B君バランスがおかしいぞ!等好き勝手な批評を受けますが、本人達は結構受け答えしながら作業の手つきにも余裕が出てきた頃です。

うるさい先輩達は、社務所の中に控えているのでしょう、姿が見えません。

最後の仕上げ

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全体を撫で回しながらそれぞれ円錐形に仕上げていきます。最後に米一粒を頂点に立てて作業終了になります。

余談:形もほぼ出来上がりました。うるさい先輩に出来上がりを報告し、宮司に最終点検をしてもらって作業終了。皆さんご苦労様でした。(彼らのほっとした表情とうるさい古老の一人は こちら を参照)

盛り付け完成

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お供えが無事出来上がりました

大きな3個は熊野神社のお供えです。小型の12個入った三宝は熊野神社の南隣に観音様と呼ばれているお堂に供えられます。

余談:記録が消失して定かな事はわかりませんが、この観音様は昔小蔵寺(おぐらじ)と呼ばれ、白糸滝の近くにあったのを現在の位置に移されたのだろうと言う事と、この祭りも最初はこの小蔵寺の修験者が疫病退散を祈願して行われたのが始まりではないか、と言う説があり熊野神社の祭典となっている「白糸の寒禊ぎ(かんみそぎ)」行事に観音様にも供えられるものと思います。

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供えを奉納されるのも宮司が行われると言うしきたりに独特の伝統があります。(写真参照)


禊ぎ終了

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禊ぎが終わって焚き火で暖を

体全体に震えが来るほど冷えてしまった身体を焚き火の回りで温めます。肩を組み合い同じ過極な事を成し遂げたと言う親近感がお互いに湧いてきます。

余談:身体が乾くまで焚き火に当たって温まる方法もありますが、震えながらでも下着に着替え、それから暖をとった方が身体全体が温まりやすいと地元の先輩からの助言です。

おまけ

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最後にサービス写真を一枚

長糸小学校児童の人気者TVQでお馴染みの「3923」です。

白糸分校の転入生「3923(さんきゅうにいさん)」が禊場へ行く前の元気な姿、と言うより寒さを我慢する 為に大きな声で気合を入れている姿と思いますよ。隠れて見えないけど、左手で同級生の友岡君の手をしっかり握っています。左端後ろ向きの人は校長先生の様ですね。

「3923」有難う! 地域に溶け込んでくれて特に児童に話題を与えてくれている事を感謝します。長糸小学校の皆さんには良いお友達が出来たね。

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