『荒毛2号墳』について

3月1日(日)前日からの小雨で足元が滑り気味でしたが、長糸小学校隣接の長糸公園【荒毛が丘(北側には戦没者忠魂碑が設置されています)】古墳の調査結果について、糸島市教育委員会文化課の職員による概要説明がありました。
:写真説明文前の◎印は当日撮影したり入手した資料、◯印は編者が、事前に撮り溜めていた関連写真で、一部赤色文字記入個所は編者が説明文として書き加えました。

◎傘をさしての説明会(稲葉伯耆の守祠前) この写真を見る 
トレンチによる調査結果、全長約69m、後円部軽約35m、前方部長さ約34mの『前方後円墳』と確認されました。
後円部は全面葺石で覆われていただろうと言う事も想定されました。

『荒毛2号墳』調査現況図
Cut2015_0302_0316_10

この様にして築いただろうと言う想像図
Cut2015_0302_0248_15-w1000

トレンチ調査では土師器の小片が出土しただけらしい。
◯後円墳部の調査トレンチ この写真を見る この写真を見る この写真を見る
◎前方部トレンチ この写真を見る 
◯前方部トレンチの位置(シートの範囲)
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この荒毛の丘は見晴らし良い場所なので、古墳の形状をうまく利用して、戦国時代は、城の役目を持っていた可能性が大きかっただろうと言うことも知りました。
(後円墳の東側約3m程下がった位置に平地があり、現在杉が植林されていますが、通常植林する為、平地に造成することは考えられず、古墳構築当時から平地だったのだろうと思われます。円墳頂上からは造林された杉木立がなければ、360度眺望が可能です。)

また、長野行政区の一集落で今も大事に祀られている『稲葉伯耆の守(高祖城主原田氏の家臣)』の言い伝えも裏付けされるとのことで、市教育委員会文化課の見解では、祠に使ってある石は此処の墳墓に使ってあった石棺を掘り出して使ったのだろうと言うことで、編者が子どもの頃、祖母から聞いた話も今回の説明で本当だったのだと認識できました。
ただ、集落の知人に尋ねたところ、昔、埋蔵物(副葬品?)の盗掘があったとの話は古老から聞いているが、詳しい人はいないだろうとのことでした。

稲葉伯耆の守の祠(内側に朱色が残っています) この写真を見る  この写真を見る この写真を見る この写真を見る

また、円墳部の少し外れた位置に平らな石が二個並べてあり石棺の蓋の可能性も有るとのことで再調査の結果が待ち遠しいです。

二つ並んだ平らな石 この写真を見る
『前方部』が戦没者慰霊碑前の駐車場部分ほとんど占めている事にはびっくりしました。(調査現況図を参照ください)

※編集後記
『荒毛2号墳』は糸島市教育委員会文化課では未調査古墳になっていました。
本来は工事着手前に『埋蔵文化財調査』は行われますが、今回の防災工事に関しては、防災工事の緊急性と既存法面の崩壊を防止する工事であり、防災工事と並行して調査を行う事が出来る程度の規模だろうし、古墳の形状から推測すると一部に影響が起きるかもしれない程度と考えられていたのだと思います。
しかし、当初考えられていた規模をはるかに超える大きな規模だったのでしょう。

〇防災工事の為に樹木伐採された既存法面
①-00-1 着手前40175 (2)-w800

〇法面成形工事により露出した『後円部』葺石? この写真を見る この写真を見る この写真を見る この写真を見る この写真を見る 
〇『後円部』葺石と思われるものも混じる残土 この写真を見る この写真を見る 
〇『前方部』と思われる部分の法面工事 この写真を見る 
〇法面途中に現れた気がかりな個所(色と自然石ではなさそうな埋設物及び穴) この写真を見る 

再調査が行われることになればこの墳墓より掘り出して「稲葉伯耆の守の祠」に使われたと言われる石棺の一部に「朱」が残っており当時の墓に「朱」を使う程強力な力を持った人が居たことの証にもなり、未調査の石棺の覆い石と思われる石の下に石棺があれば、副葬品も期待できるし古墳本体に埋葬された人との関係、更に南側に数百メートル離れた長嶽山古墳群(14基)との関連等調べれば面白いだろうし考古学に興味がある人には期待されると思います。

この古墳は見晴らしの良い場所で、長野川沿いに発達したと言われる稲作によりこの地域に力を持った人が埋葬された可能性も大きいし今後詳しい調査が行われることに期待しましょう。

〇『前方部』より見た北側の眺望Cut2015_0304_0209_01

それにしても長糸小学校に隣接している事は、調査結果が子ども達にも良い効果が生まれそうです。

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